「お金」に関するマネーコラムです。家計・資産の基礎知識から豆知識、賢く活用する方法などをお届けしています。
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老後のライフプランを立てる上で、お金の運用と同じくらい、あるいはそれ以上に重要になってきているのが「健康リスクに備えたお金の管理」です。
人生100年時代となり、どれだけ新NISAで資産を増やし、年金を増やしたとしても、将来自分や親が「認知症」などで判断能力を失ってしまった場合、そのお金が一切使えなくなる重大なリスクがあります。これがいま社会問題化している「資産凍結(しさんとうけつ)」です。元気なうちに知っておくべきリスクと、我が家を守るための具体的な法律の仕組みを解説します。
多くの方が「自分が認知症になっても、キャッシュカードの暗証番号を子どもに教えておけば大丈夫」「家族が窓口に行けば医療費くらいは出してくれるだろう」と考えています。
しかし、銀行は口座名義人の判断能力が低下したことを知った場合(窓口での受け答えができない、本人の意思確認が取れないなど)、詐欺や親族による使い込みを防ぐために法律に基づいて口座を厳格にロック(凍結)します。口座が凍結されると、たとえ実の子どもであっても、親の口座から医療費や介護施設の入居費用を引き出すことが一切できなくなります。
さらに口座だけでなく、親名義の実家を売却して介護施設の費用に充てる、といった不動産の処分や、定期預金の解約などもすべてストップしてしまいます。結果として、子どもが自分たちの生活費を削って親の介護費用を立て替えなければならない、という悲劇が生まれるのです。
この資産凍結を防ぐための公的な仕組みには、主に以下の2つがあります。最大のポイントは、「本人が元気でしっかりしているうちにしか準備できない対策がある」という点です。
1. 家族信託(かぞくしんたく)★元気なうちの最善策
本人が元気なうちに、「将来、自分が認知症などで判断能力が落ちたら、この財産の管理・処分権を通帳も含めて子ども(信頼できる家族)に託します」という契約を結んでおく仕組みです。
メリット: 親が認知症になった後も、子どもが親の代わりに親の口座からお金を下ろして医療費を支払ったり、実家を売却して施設費用を作ったりすることが非常にスムーズに、かつ法的に問題なく行えます。
2. 成年後見制度(せいねんこうけんせいど)★認知症になってしまった後
すでに認知症が進行し、判断能力がなくなってしまった後に利用する国の制度です。家庭裁判所に申し立てをして「後見人」を選んでもらいます。
注意点: 家族ではなく面識のない専門家(弁護士や司法書士など)が後見人に選ばれるケースが多く、その場合、後見人への報酬(月2万〜6万円程度)が親が亡くなるまで一生涯、親の財産から引かれ続けることになります。また、財産の使い道も裁判所の厳しい監視下に入るため、柔軟な財産管理がしにくくなります。
まとめ:お金の管理を家族に託すのは、最高の「思いやり」
どれだけ豊かな資産を築いても、認知症によって口座がロックされてしまっては意味がありません。資産凍結のリスクを防ぎ、大切な資産を自分の医療や介護に正しく使うためには、「本人が元気なうちの準備」が絶対条件です。万が一のときに家族が困らないよう、健康な今だからこそできる対策をスタートさせましょう。
【本記事のデータ・法律の出典元】
最高裁判所事務総局:「成年後見関係事件の概況」公表データ (成年後見制度の申請件数の推移、および親族以外(専門家)が後見人に選任される割合に関する公式統計)
厚生労働省:「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」関連資料 (日本における認知症高齢者の将来推計、および金融機関における高齢者の取引安定化(資産凍結リスク)に向けたガイドライン)
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